野口健さんのセミナーに参加したことがあります。
登山家であるとともに、富士の樹海の清掃等の環境問題でも大活躍されています。富士山が実はゴミの山であり、世界遺産になれなかったことがニュースになってから、登山者のマナーは格段に向上したという話をされていました。私も4回、各登山口から登山したことがあるのですが、10数年前と比べて格段に綺麗になっていると実感します。ただし、樹海に関しては不法投棄が多く、大変な状況であるということ。ゴミが幾層にも重なっているため、ゴミ集めではなくゴミ掘りだ、という表現もなさっていました。
「A面は見えるが、そこにしか行かないと見えないB面が世の中にはある」「人間は、見る→知る→背負うとなる。子どもたちには、ぜひ見るという体験を行って欲しい」
小笠原諸島
野口さんが行っている環境学校では、子どもたちは「自分の正義が、必ずしも社会の正義と一緒ではない」ことを学ぶとおっしゃっていました。
世界遺産になった小笠原諸島には、飛行場がありません。そこに飛行場をつくろうという動きもあったのですが、現在は廃止されています。
子供たちを実際に小笠原に連れて行く前は、「環境を守るためには、飛行場をつくるのは反対!」の声がほとんどですが、実際に現地に連れていくと、
(1)船では着くまでに25時間かかる。しかも、八丈島あたりの黒潮は、波が荒くて危険、
(2)病院の設備などが不十分であり、急病者が出たときに対処できない。自衛隊の飛行機に来てもらうと1回のフライトで400万円がかかる。
小笠原に実際に住んでいる方の中には、飛行場を熱望されている方もたくさんいることを知り、賛成と反対がほぼ同じ数になってしまうとのこと。
どちらが正解というのは、環境問題にはなく社会(人間)が相手の、大変難しい問題であるということです。
子どもたちに、環境について真剣に考えさせるというのは、本当に貴重な経験です。