・春になると私たちを楽しませてくれるカルガモ親子から学べることがあります。泳ぎ始めた頃は、陸に上がるのもやっとという状態なのですが、子ガモが何度も何度も滑り落ちても、親ガモは決してそれを手伝おうとはせず、子ガモのそばでぐるぐる回って心配そうに見ています。見ている人間が思わず手を貸してやりたくなるほど待った頃、子ガモはなんとか自力で陸によじ登り、一家揃って、何事もないような様子で歩いていきます。このように野生の動物を観察していると、親は自分の子がある程度成長した時に、必ず自立への後押しをします。まさにそのタイミングも素晴らしいと覆うのですが、人間から見れば少し残酷とも思えるほど突き放したやり方で、子供を巣立出せているのです。
・学校の入学式では、校長や来賓の挨拶の間はざわざわと騒がしい新入生たちが、在校生代表が「新入生を迎える言葉」を読み始めるとたんに静かになります。このことが示しているのは、子供たちは自分たちの仲間である子供の発信に対しては真剣になれるということです。子供にとっては親との約束以上に、友達との約束は、真剣なものなのです。それは子供対子供が対等の関係であり、そこにルールが存在し、そこから競争や対立といった関係が生まれてくるからです。そこは一つの社会であり、その中で子供は多くのことに直面し、決して甘くはない現実を把握して成長していきます。