「私は人に好かれない」といって悩んでいる、ある女の人がいました。
しかし、彼女の話を聞いていると、どうも好きな人はいないようです。
「あの人は〇〇だからイヤだ、この人は〇〇でイヤな人だ」と、嫌いな人だらけです。
どうでしょうか?こんな人は、人から好かれるでしょうか?
彼女は、人に好かれないのではなくて、人を好きではないのです。
「情けは人のためならず」ということわざがあるように、人に親切にする人は、人にも親切にされるでしょう。人を許すことができる心が広い人は、人からも許されます。人を好きな人は、人からも好かれます。
そういう風に世の中は出来ています。
そして、自分好きな人は、他人にも好かれるのです。
サーカスの象
サーカスの象は、小さい頃に、頑丈な鎖でつながれます。子象は鎖をひっぱって逃げようとしますが、まだ小さいので鎖は切れません。そのうち、逃げられないとあきらめて、暴れるのをやめてしまいます。
さて、この子象は年月がたつうちに大人になります。もう、つながれている鎖など簡単に切れるパワーを身につけます。
ところが、象は決して鎖を切って逃げようとしないのです。象は、鎖が切れなかった経験はしていますが、鎖を切った経験はしていないのです。「鎖は切れない」という思い込みが植えつけられてしまっているのです。
人間も、この象と同じです。一度失敗したことを、「これは自分にはできないのだ」と思い込みます。「苦手意識」を自分で植え付けてしまうのです。
しかし、考えてみてください。君たちも子象と同じで、日々成長しているのです。いつまでも「これはダメだ」と思っていたら、本当にいつまでもできるようにはなりません。
「先入観を持たないように」という例でよく出る話ですが、大事なのは象と違って、「これはダメだ」という評価を与えるのが周りの人間(子どもに対する大人)であるということです。
失敗学(工学院大学教授 畑村洋太郎先生のアドバイス)
・悩んでいる子供達は半分うつ状態なのです。
うつとは、生きるためのエネルギーがギリギリまで消耗している状態だと思ってください。
そこで励ましの言葉をかけたところで、子どもをさらに追い込むだけでしょう。
ただでさえガス欠寸前なのに「もっと走れ、もっと急げ」とアクセルを吹かしているのですから。
子どもが失敗に打ちひしがれているとき、親に出来ることはほとんどありません。
受験にしても、いちばん苦しいのは本人なんです。
横からごちゃごちゃ言ったところで、余計に苦しめるだけ。
親にできることがあるとすれば、おいしいごはんを食べさせて、物理的にエネルギーを回復させることぐらいでしょう。
人間が本当に孤立したとき、家族ほどありがたい存在はありません。
気の利いた言葉をかけるのではなく、子どものことを信じて見守ってやること。
あなたが「ただそこにいる」という事実が大切なのです。