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反抗期に対する処方箋

・「どうしたの?」と話を聞こうという姿勢を示しても、無言か「別に」ぐらい。これまでの10数年、子供の全てをコントロール下においてきた親にしてみたら、そんな我が子の反抗的な態度は『衝撃』の一言です。「あれ?うちの子大丈夫?」と、不安や心配になる気持ちもいたいほどわかります。ただし、今も昔も、思春期の難しさは変わりません。「うるせえよ」「わかってるよ!」という言葉が飛び出してきたら思春期に突入した合図。子供から大人に向かう階段を一段ずつ上り始めた証です。

・反抗は、親や大人によってつくられたこれまでの自分ではなく、新しい本物の自分を作りたいというあがきです。新たな自分になるために、いったん自分を崩そうとしているのです。「自分崩し」は、精神的自立において極めて重要な過程と言っても言い過ぎではありません。

・思春期は「親ばなれ」の第一歩。親のことを「あなた」と呼んでみたり、抽象的な単語をやたら乱発したり、論理的に聞こえる屁理屈で親の言葉に対抗しようとします。でも、どんなに大人びたことを言っても、子どもであることに変わりはありません、自立したい、親離れしたいと思ってはいても、精神的自立は未だその途中ですし、経済的自立はもちろんのこと、社会的自立も、性的自立もできていない状態です。自立の四つの要素を何一つ兼ね備えていない以上、しっかりと自立するためには、自立のための足場となる「安心して依存する場所」が必要となります。ですから、自立しようとすればするほど依存傾向が強くなってくるというのも、この時期の特徴です。親の世界から離れようとしている思春期の子どもたちにとって、最も依存できる場所、それが友達です。安心できる親元から離れようとして、宇宙空間を漂っているような心許ない状況で、友達との関係は唯一自分が安心できる場所となるからです。

・友達との結びつきを何よりも大事に考える思春期の子にとって、友達を否定されることは自分を否定されることと同じです。(スマホにはまるのは、友達との関係が第一だからです)

・大人ならでの悟りきったニヒリズムで世の中を語ったり、悲観的な話を子供に聞かせるのはよくありません。なぜなら子どもは未来に向かって生きているからです。しかも基本的にロマンチストです。親よりも圧倒的に長い人生がこの先に待っているのですから、その人生に希望がないと感じさせてしまうのはかわいそうです。先の未来に夢や希望を持てなくなるような「大人扱い」は、未来に対する悲観、「努力してもどうせ報われないんだ」といった諦めや絶望感を子供に植え付けてしまいかねません。

・次に顔を合わせたとき、どちらからともなく会話ができるような後味の良い叱り方が理想です。その極意は、「短く叱ってサッと引く」です。この「サッと引く」がとても重要なのです。

・「若木は嵐に鍛えられる」などと、よく言われます、嵐が突きつければ吹き付けるほど、その回数が多いほど、それに耐えようとして若い小さな苗木は懸命に地中深く根を張り、鍛えられて強く太く生長して行きます。トマトやミカンも、土の量が少ない、水が少ない、日当たりが良くないなど、生育条件が厳しいほど、頑張って生き延びようとして甘くなると言います。反対に、恵まれた条件下でぬくぬく育つと、見た目は大きく立派になるものの、中身は水っぽくて味の薄い、見掛け倒しの実になってしまいます。子供も同じように、成長にはある程度のストレスが必要です。ストレスのない状態では、大きく豊かに育つことはできないのです。

・親が壁であることは、子供の身を守ることにもつながります。例えば仲間から悪い誘いがあってそれに乗りたくないとき、自分の親を「うちの親ホント厳しくて、バレたらマジやばいんだよ。悪いけど勘弁して」と悪者にして自己防衛できます。それがなければ、共依存の人間関係の中に取り込まれ、渦に完全に巻き込まれて、ハッと気づいたら集団万引きをやっていた、他校の生徒と乱闘してパトカーに乗せられていたといったことも起こりえます。普段の友達との関係においても、何かを断らなくてはいけない時、「うちの親に言ったら絶対にダメ!と言われちゃったよ。ほんと頭カタイんだよな。ごめんな」と親のせいにして、自分の価値を守ことができます。このように親が強固な壁となってやることは、子供がとんでもない場所に深入りしたり、友人との世界を壊さないための装置にもなるのです。

・思春期の子供達は、善悪の判断やモラルに関することについて、100人が100人ともに判断力を持っています。話をしていて大事な点を欠落させていたり、間違ったことを言っている場合は、その判断力を引き出せるように「あなたならちゃんとわかってくれると思うけど」「お前ならきっと理解できるはずだけれど」、でも「それは違うと思うよ」と正していくことが大切です。そうやって、プライドを尊重することを前提に親が伝えていくことで、子どもたちはしっかり自分で善悪を判断します。「自分のプライドが許さない」となって、誰も見ていないところでも、「お天道様は見ている」と言った感覚で半モラル的な行動やおかしなことはしないものです。

最後は、我が子を信じるということでしょうか?

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