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武士道(新渡戸稲造)

パート1

・踏み出した一歩は、もう道夫半ばまできたようなものである。何事も最初の一歩が大事である。

・人は岩や木ではないから、いつかは自分の徳をわかってくれるものである。

・雲は永久に月を隠すものではない。

・人は顔よりも心が大事である。心が素直で気持ちの持ち方が高いと、おのずと顔かたちにも品格は表れる。

・勝負事でも、勝つだけが目的ではなく、何事も潔くすることが目的で、これは人生においても同じことである。

・学問をきわめた人が徳を身につけることは、平地から高い山に登るように厳しいが、徳を修めた人が学問を修得することは、山頂から山の麓に出るようなものである。

・大人も幼児のような心を失ってはならず、幼い子のような透明な心は、見習うべきものである。

・最後の最後にきて、もうだめだと倒れるものはそれ切りで終わるが、もう一度立ち上がれば、後はしめたもので、自分の思いがかなうものである。

・土地はこれを耕すもののために豊かになり、何もしないで秋を待つものには、実りはこない。

パート2

・物事を手がけるにあたっては、動機を正しく理解しなければならない。その動機が正しいものであれば、成功や失敗を考えずに行え。

・自分が受けた恩は決して忘れてはならないし、施したと思うのは、決して恩ではないと思え。

・好機に乗るのは良いけれど、早く成功しようとして正しい道にそむくことは戒めるべきである。

・十分のものに十二分の力を入れれば、その仕事は成し遂げられなくても必ずその効果は表れるもので、全力を傾注するだけの価値のないことならば始めるべきではない。

・世の中の流れというものは、うわべだけで判断する馬鹿げたことが多い。あるときは聞き流し、あるときは見捨てることが大事である。

・人の自分を見る目やうわさは気にせずに、まず守るべきものは自分の心である。

・自分の感情のみで、良し悪しを見分けることは、自分を不幸にするもとである。

パート3

・今日は曇っている、今日は雨が降ると不平を言っても、空は晴れない。雨が降ったら、かさ一本で行動は決まる。物事を起こすときは、断行することである。

・西洋のことわざにも「天才とは飽きずに働く力である」とある。

・貯蓄が必要だと思ったなら、すぐその日のうちに一銭の預金をしなさい。また、学問が大事だと思ったら、その日のうちに本を1ページでいいから読みなさい。

・昔一人の男がいて、ふと鏡を見ると自分の頭が映らないので、大変驚いて自分の頭はどこかと国中を尋ねまわったが、途中くたびれて部屋に座って、よく見ると頭はちゃんとあることを知ったと経文にある。これは変わった出来事に出逢ったときであるから、変化に驚かず、よく落ち着いてものを見るべきである。

・母の愛情ほど尊いものはない。子が親を思う心にまさる親心といって、この心を分かることを孝行といい、慈しみことの元はこの心である。

・賢い人は一を聞いて十を知れば、また知らないことが多く出てくるものである。自分はまだまだ勉強不足と思っている人が、最も賢い人である。

・夏の日は自分の暑いことだけを考えて、人が暑いのも忘れている。

・人はとかく自分の罪を他人にかぶせようとするものである。

夫婦、親子、兄弟の間でも考え方の違いがあるのはやむを得ないことである。人それぞれに考え方が異なることは、顔がみな異なるのと同じで、お互いが相手を理解しなければならない。

・我々の一生にも、必ず、命を賭けて戦うべきときはくるものである。

・賢い人はどんな人からも学んで、人を馬鹿にすることはしない。

・気が弱くては、物事は成功しない。

・心配事をためておくことは、食いだめと同じで何の役にも立たない。

・誰でも気分の良いときと悪いときがある。同じことを言うにしても、今日と明日とで違わないかと心配し、心変わりが無いかと思うときがある。天気のようなものと思い流せば、それもお互いのためになるものだ。

woman sitting while showing heart sign hands
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