石川町駅中華街口から徒歩30秒
中学受験国語専門塾です

渾身

凄いやつ

松尾スズキさんのエッセイより。

「かつて人類が洞窟に住んでいたころ、体の動くやつは狩りに出かけ、頭の切れる奴は狩りの獲物をかすめた。体も弱く頭の悪いやつは死んだ。だが、そのままでは人間は人間にはなれなかった。体が弱く頭も切れない奴らは、なんとか絵を描くことを覚え洞窟を飾った。狩りはできないが踊りがうまい奴がいた。足は悪いが語りべとなって人々を楽しませるやつもいた。そうやって弱者にも糧を得、子孫を残すチャンスを認めからこそ人間たりえたのではないか」

松尾さんは、「演劇とか出版とか<なくても特に死にはしないもの>があるおかげで、運動も勉強もできなかった私もなんとか生きている』と語っていますが、ここまではよく聞く話。

「例えば動物の世界では弱者は子孫を残せず野垂れ死にを待つばかりだが、もしかしたらそいつらの遺伝子の中には後々、<凄いやつ>を生み出す情報が入っていたやも知れぬ。つまり人間だけが持つ文化というものは、弱者の遺伝子に隠れた<凄いやつ>をつぶさないシステムをいうのではないか」

部活動は重要です!!体育系、文科系に関わらず、時間の長短に関わらず、部活を大事にされている学校は良い学校。

渾身


幸田文の随筆にこういう内容があります。


「まだ少女だった幸田文が、風呂の焚きつけに使う薪を割っていた。力のない少女が、木片に何度も鉈を打ち付けていると、それを見ていた父(紅葉)が口をはさむ。『おまえはもっと力が出せる筈だ、働くときに力の出し惜しみをするのはしみったれで、醜で、満身の力をこめてする活動には美がある』
「二度こつんとやる気じゃだめだ、からだごとかかれ、横隔膜をさげてやれ。手もさきは柔らかく楽にしとけ。腰はくだけるな。木の目、節のありどころをよく見ろ」

父の教えたものは、技ではなくて、これ渾身ということであった。
「渾身」いい言葉です。

pile of fire woods
Photo by Lum3n on Pexels.com