エーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」という本のなかに、「自由は担(にな)うには重すぎる」という意味の言葉がでてきます。
時間におわれる生活をしている人は、自由だといいなあとあこがれる気持ちが出てきますが、実際に「毎日自由だよ。」ということになると人間はぼーっとして無気力になってしまうのです。
人間の脳は、選択肢が無限にあるような状態に耐えられず、思考停止に向かっていくのです。
分かりやすくいうと、「目標がないと脳はさぼって働かないぞ」ということ。
「月かげの いたらぬさとは なけれども ながむる人の こころにぞすむ」(法然)
月は夜空に煌々と照り、光の届く限り、いたるところを照らしている。けれども、その月のあかりやすばらしいたたずまい(美しさ)は、他のことにかまけて空をあおごうとしない人間の心には映らない、という意味です。
自分はいまシアワセなのに、それ以上の恵まれた状態があると思い不幸を感じる。そこからさまざまな迷いや欲が湧きおこり、人生をつまらないものにしてしまう。
塾の帰り道、たまには夜空を眺めるべし。
ものを大事に
フィンランドでは教科書は古いものを使いまわしするそうです。少ない教育予算のなかでのやりくりの秘訣だということ。「この教科書は来年も使います。きれいに使ってくださいね」と初めに言っておけば、子どもはきれいに使ってくれるということです。自分が使った後に誰かほかの子どもの手に渡ると知ると、とても大事に使ってくれるのです。
ものを大切にすることも同時に学べる良い仕組みです。
勉強机のまわりにある教材は「元気」でしょうか?