アレキサンダー大王
ある馬がアレキサンダー大王に贈られたとき、馬番のだれひとり、この名馬を乗りこなすことができませんでした。
普通なら「なんてやっかいな馬だ」「こんな馬を贈るなんて」と文句のひとつも出るでしょう。しかし、アレキサンダ-は違いました。名馬が暴れてしまうということの原因は何かということを一生懸命探しはじめたのです。
アレキサンダーが、しばらくこの馬の様子を落ち着いて「観察してみると」、この馬が自分自身の影にひどくおびえていることにすぐに気付きました。
おびえて暴れると影も暴れる。馬はそれを見て、さらに暴れるという悪循環になっていたのです。
アレキサンダーは馬の鼻づらを太陽のように向かせ、常にその姿勢を保つことで、なんとか落ち着かせて手なづけることができました。本当の原因がわからないかぎり、問題は解決しないし、感情的に接することはマイナスにしかならないということです。
例えば、中学受験では、子どもの「やる気がでない」ことの原因はさまざまですし、当の本人すらわかっていないということもたくさんあるでしょう。
そんな時に怒ってもうまくいかないということは私も含めてみなさん経験済みではないでしょうか。
保護者会などで、よく「子どもをほめましょう」という話をしますが、ほめるには観察をしなくてはならないので、子どものことがよくわかる=やる気がでない原因が発見できる、というのが「ほめる」の効果でもあるかも知れません。
大げさに考えるのはやめて、ものごとをあるがままに見てみることは大切です。
とくに、今はマイナスの状況におかれているなあ、というときには悪いほうに悪いほうに・・とエスカレートして考えてしまう傾向にあります。「なぜ自分だけ・・」「どうせ努力しても・・」
などという考えが出てきたときには、黄色信号。
頭がいい
幸福論にはこんな記述があります。
「あなたが今おかれている状態は、ほかの人たちと少しも変わりはない。ただあなたは、不幸なことに頭がいい。そのため自分にことに意識を向けすぎて、悲しくなったりうれしくなったりする理由を知ろうとするのだ。」
さらに、大げさに考えるよりも、気軽な行動や気分転換が大事だとも言っています。
「バイオリンでも手にとって弾きはじめるほうが、頭で感情を追い払おうとするよりもずっと簡単。これが賢人の知恵である。」
「ふさぎこんでいる人に言いたいことはただひとつ。『遠くに目をやろう』。人間の目はそんな近くに焦点を合わせるようにできてはいない。だから宙を見つめると安らぐのである。星空をながめるとき、あるいは果てしない海をながめるとき、目の緊張が完全にほぐれる。目がほぐれると心が解き放たれ、足取りも自信にあふれる。自分の内部のすべて(臓器までも!)がほぐれ、しなやかになる。」