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おじさんのノート

「君たちはどう生きるか」の刊行は1937年。第二次世界大戦が始まる2年前のことです。作者は、吉野源三郎さん。東京帝国大学(現・東京大学)で哲学を修め、戦前・戦後を通じて編集者として活躍した人物です。主人公は、中学2年生のコぺル君(年齢は15歳ですが、当時は数え年で年齢を数えます)。教育制度も今とは違い、当時は尋常小学校までです。中学校の数は少なく、義務教育ではないので、狭き門の試験を突破しなくてはなりません。コぺル君や、作品に登場する彼の友達は、いわばエリート層です。

文中に登場する「おじさんのノート」にはこんな一文があります。

<今の君にしっかりとわかってもらいたいと思うことは、このような世の中で、君のようになんの妨げもなく勉強ができ、自分の才能を思うままにのばしてゆけるということが、どんなにありがたいことか、ということだ。コぺル君!「ありがたい」という言葉によく気をつけてみたまえ。この言葉は、「感謝すべきことだ」とか、「お礼をいうだけの値打ちがある」とかという意味で使われているね。しかし、この言葉のもとの意味は、「そうあることがむずかしい」という意味だ。「めったにあることじゃあない」という意味だ。自分の受けている仕合せが、めったにあることじゃあないと思えばこそ、われわれは、それに感謝する気持ちになる>

自分の幸せにしっかりと気づいて、新たなスタートです。

 

「一羽のツバメが春をもたらすわけではないし、一日で春になるのでもない」

(アリストテレス)

white printed paper with four white roses
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