「ハーバードの日本人論」(佐藤智恵・中公新書クラレ)を読みました。
同じく佐藤智恵さんの著書でベストセラーになった「ハーバード 日本史教室」も大変参考になる本でした。
□「禅マインド ビギナーズ・マインド」(サンガ新書)は鈴木俊隆さんが1970年に出版した禅の法話集。
スティーブ・ジョブズはじめ、起業家たちの精神的支柱となった。鈴木俊隆さんは、「初心者の心には多くの可能性があります。しかし専門家といわれる人の心には、それはほとんどありません」という。初心とは空の心のこと。どんなことでも受け入れる用意がある、どんなことにも開かれている心のこと。自分は専門家だと思ってしまうと、「私はこれこれについて知っている」と満足してしまい、次への学びへの心は閉ざされてしまう。
□ハーバードの学生に「自分の育ってきた環境を振り返ってみて、どんな習慣がハーバードに合格するのに役立ったと思いますか」と質問してみると、多くの学生は「親から部屋の整理整頓、洗濯、皿洗いなどを自分でやるようにしつけられたこと」と答える。もし、「掃除はしなくいいから、勉強だけやってなさい」という家庭で育ったら、自己鍛錬の機会も与えられず、自制心を養うこともできないだろう。家の庭や、自分の部屋や、トイレやキッチンを清掃することは、自分の住環境を大切にすること。それが規律ある生活を送るのにつながる。
□日本の製造業の現場では、職場環境の向上と効率化のために、3S(整理、整とん、清掃)あるいは、5S(整理、整とん、清掃、清潔、しつけ)をスローガンにしているのをよく目にする。清掃をする習慣は、日本人の当事者意識を養うことにつながったことは確かだと思う。職場を自ら清掃する行為は、環境を大切にしていること、会社を大切にしていることのあらわれ。このような当事者意識があったからこそ、日本人は誇りを持って働き、日本経済を成長させることができたのではないか。
お手伝いをすることで、我慢を覚えることは、難問への粘りにもつながると思います
□一般的に日本人のデザイン感覚は他国の人々に比べても優れていると思う。おそらくその要因は、高い教育水準と日本語の文字にある。漢字を学べば均整や意匠の感覚が自然と身につくし、日本人は子どもの頃から漢字とひらがなとカタカナをしっかり学んでいる。それだけで、デザインセンスが身につく。
□「(油絵のように)上から塗りつぶして書きなおせる」西洋画と、「一発勝負でアウトラインを引き、色を重ねていく」日本とでは全く違う精神が必要となる。
大人になってからは、パソコン等で「入力」という作業になってしまうので、漢字練習は小学生のうちにしっかりやっておきたいもの。しかも、間違った漢字を覚えないように1回目が大切。