教育業界に長くいますが、人間の感情を変えると簡単にいうことがいかに不遜なことであるかということを感じます。
「自分では自分をくすぐれない」という研究があります。
これは、運動を指令する大脳皮質の運動野から、皮膚感覚を感じるところに「これはおまえ自身がやっていることだからくすぐったくなるな」というキャンセル信号が伝わっているからです。また、強盗が入ってきて「オイ!」とくすぐられても、くすぐったくはなりません。
くすぐったいと感じるのは、おそらく人間だけ。人間の脳というのは、それ一つとってみても高度な働きがあるということです。
本来、学習とは楽しいものである
人からやれといわれるより「自分から勉強しようと思って勉強した」ほうが成績は伸びます。
それは命令されてやることはいやなことなのに比べ、自分からやろうと思った勉強は楽しく思えるからです。
では、楽しく学んだほうが学習効果が高まるのはなぜかというと?
それは、「物事を学習することは人間が生き残るために必要な本能」だから。
ほかのさまざまな本能と同じように、快感とセットになっているのです。食べるのが苦痛とか、眠るのがつらいものであったら、人類はとうの昔に絶滅していますね。
「本来は学習とは楽しいもの」。この言葉は大人として教育者として、しっかり理解と反省をしていきたいと思います。
いかに姿勢が大切か
字が汚い人の共通点として、姿勢が悪いことが上げられます。
そこで、いかに姿勢が大切かのエピソードを紹介します。・・アメリカの若い医者は、成績は大変優秀なのだが手術をやらせてみると手先が不器用で、見られたものではなかった。観察してみると、みな両手の脇が大きくあいているため、微妙な手先のコントロールができないのだ。そこで、私は彼らにこう言い渡した。「これから1ヶ月間、食事をする時は必ず箸を使うように」。
ふだんはナイフとフォークを使用していたアメリカ人が箸を使うことにより、手先が器用に変わってきたとのことです。
脳の疲労をとる
「病は気から」ということわざがあります。実際に病院でも、性格が明るい人ほど治りやすく、暗い人ほど治りにくいというデータがあるそうです。専門的には、性格が明るい人は、脳の中のドーパミン系の神経を、暗い人はアドレナリン系やセロトニン系の神経を良く使っているとのこと。
さて、胃や腸と同じく脳も疲労する臓器なので、その脳の疲労を取りいつも元気でいるための方法を紹介します。
実は、一番簡単なものは、気の置けない友だちや家族と「よく話をすること」だそうです。生徒が職員室でだべってなかなか帰らない、ご飯中にうるさいのも、元気になろうとする脳の働きであるということです。(ほめてませんので、念のため)ただし、話をするといっても、グチをこぼしているとよけいストレスになるので要注意。必ず楽しい会話にすることが大切です。
※文中の「気の置けない」という言葉の意味は、仲の良いです。入試に頻出!