哲学者の内田樹さんは、人間どうしの親しみや敬意というのは、「ほわん」とした感じのものだと述べています。特に日本人は、その傾向が強いのではないでしょうか?
小津安二郎監督の作品は、DVDボックスも持っています。昔の北鎌倉の様子に趣きがあります。
小津安二郎監督の「お早よう」という映画のラストシーンで佐田啓二さんと久我美子さんは駅のホームでこんな会話をします。
「こんにちは」
「こんにちは」
「今日どちらまで?」
「ちょいと銀座まで」
「いい天気ですね」
「いい天気ですね」
「あ、あの雲なんですか?何かに似てますね」
「何かに似てますね」
「いい天気ですね」
「いい天気ですね」
2人はこんなふうに終わりなく同じ言葉をただ繰り返すだけです。でも、この会話が2人にとっては至福のコミュニケーションであることが確信されます。
2人の間を行き来しているのは、「私はあなたの言葉を聞き取った。私たちの間にはコンタクトが成り立っている」というメッセージです。というのも、相手とのコミュニケーションが成り立っていることを相手に知らせる一番確実な方法は、聞きとった言葉をもう一度繰り返すことだからです。
ほんとうに親しい人たちの間では、ときには「何もしない」ということが貴重な贈り物になることもあるのです。
特に家族の間では。
ミネルバ大学
元ミネルバ大学日本連絡事務所代表の山本秀樹氏が著した『次世代トップエリートを生み出す 最難関校 ミネルバ大学式思考習慣』(日本能率協会マネジメントセンター)という本があります。(ミネルバ大学には、開成高校からも合格者が出ています)
ミネルバ大学の特徴
①ハーバード大学をはじめとするトップ学長が設立準備委員会を務め、アイビー・リーグ(アメリカの名門私立大学8校の総称)やスタンフォードの学部長、オバマ大統領の顧問だった有名教授や大学の単位認定機関の副理事長らが設立メンバーとして集まった。驚くべきは、このメンバーを率いたベン・ネルソンは当時35歳。教育業界はまったく未経験の民間企業の経営者であった。
②設立3年目の2016年には、世界の160カ国から2万人を超える入学希望者を獲得し、その合格率1.9%は名門と呼ばれるスタンフォード大学やハーバード大学よりも狭き門となった。
③校舎を持たず、世界の7つの国際都市を移り住む/講義を禁止、テストを廃止/授業はすべて少人数のディスカッション、最新の情報技術を活用した学習・キャリア構築支援を行う。
リーダーになる人には、さまざまな能力をつけておく必要があります。(日本は根性論や精神論が多い印象です)その一つの例として『認知的不協和理論』というものがあります。人が自身の中で矛盾する認知を抱えた状態になると、その時に覚える不快感を解消するため、自身の態度や行動を変更する、という理論です。
具体的な例でいえば、イソップ寓話(ぐうわ)の「すっぱい葡萄(ぶどう)」やスペンサー・ジョンソンが著した「チーズはどこへ消えた?」があげられます。
『迷路の中で巨大なチーズを見つけた2匹のネズミがいました。やがて、そのチーズを食べ尽くした後、2匹はいつの間にかチーズはこちらから探さなくても勝手にやってくる、と待ち続けます。やがて片方のネズミは再び迷路の中に新しいチーズを探す旅に出るのですが、もう片方は、いろいろな理由をつけてそこから動こうとしない』
なるほどなあと思わされます。
自分を客観視するためにも、知っておくと強みになります。