「やらかした時にどうするか」(ちくまプリマー・畑中洋太郎)を読みました。
・失敗は必ず起こってしまうのですから、「絶対に失敗しないように」などというムダな考え方は捨てて、つい失敗したら、気持ちを切り替えて「絶好のチャンス!」と考え、「なぜ失敗したのか」「この失敗からどんなことが学べるのか」を徹底的に分類・整理して、その後の自分の人生の糧にする知識やノウハウをきちんと身につけることが大切なのです。その「分類・整理」や「糧にすること」の具体的な方法を学んで身につけるのが、「失敗学」の目標です。
・失敗をやらかしてしまった直後に「辛い」「苦しい」「悔しい」「悲しい」などという気持ちになったら、ラッキーだと思ってください。それは、失敗した経験がそのひとの記憶にしっかりと根付いた瞬間だからです。言い換えれば、新しい知識を受け入れる素地ができた瞬間だからです。この「受け入れる素地」ができたひとは、できなかったひとより、何十倍も知識を吸収できるようになります。
・かつて私も「ある問題に対して決まった解答を最短で導き出す正しいやり方」だけで、大学の授業で学生たちに指導していました。当時は「できるだけ早く正しい理解に到達できる効率的な方法を教えることが大切だ」と考えていました。しかし、そのやり方で教えられた学生たちが得たものは、表面的な知識に過ぎませんでした。彼らはパターン化された既存の問題や課題だれおに対してはきちんと対応できました。しかし、見本や手本のない新しいものを自分たちで考えて作るように指導すると、表面的な知識は全く役に立たず、誰も対応することができませんでした。それどころか、「自分たちはどんな新しいものを作り出せばいいのか」という第一歩目の課題設定ですら、自分の頭では考えられない学生が少なくなかったのです。この深刻な状況に気づいた私は、何とかこの問題を解消しようと、いろいろな指導方法を試しながら、最も効果的な教え方を模索しました。そのプロセスの中で、私は「予期しないことが起きて、思い通りにならないことを体験すると、誰もが真の理解の大切さを痛感する」ということに思い至りました。
失敗を恐れない生徒をこれからも育てなくてはならないと思っております。