植物生理生態学者の田邊優貴子さんは、南極や北極などでフィールドワークをされています。
南極で出会ったアザラシの赤ちゃんの話。
「湖岸を歩いているとき、滅多にない緑色が見えたので駆け寄っていったら、赤ちゃんアザラシの死体だったということがありました。生きものの気配がまったくない中で、アザラシの赤ちゃんのまわりだけ、うっすらとコケが生えているんです。一部を持ち帰ってみたら、約2000年前のものだということがわかりました」
「空気が低音で乾燥していて、バクテリアも少ないから、死体がなかなか腐らないんです。2000年をかけて少しずつ分解されて、今度はそれを養分にしてコケが息づきはじめる。長い時間をかけて、生命が循環しているんです」
同じような話を、屋久島に行ったときに地元の人に聞きました。
屋久島の土壌も栄養分がないので、枯れた木を栄養にして何世代もわたって生き延びていったのが、縄文杉の実態であると。
生命の神秘です。
明治時代の空気感
明治時代の空気感が伝わる言葉。
「いや、人生は気合だね」(二葉亭四迷)
「いやしくも天下に一事一物を成し遂げようとすれば、命懸けのことは始終ある。依頼心を起こしてはならぬ。自力でやれ」(伊藤博文)
「一日は貴い一生である。これを空費してはならない」(内村鑑三)
「人生は大(おおい)なる戦場である」(島崎藤村)
「人間よくなるも悪くなるも一寸(ちょいと)の間だ」(泉鏡花)
「口を結べ。口を開いて居る様な人間は心に締りがない」(乃木希典)
「愚直と笑わるるとも、終局の勝利は必ず誠実な者に帰すべし」(東郷平八郎)
「欠点は常に裏から見た長所である」(徳冨蘆花)
最後に夏目漱石を2つ。
「自らを尊しと思はぬものは奴隷なり」(夏目漱石)
「自分に誠実でないものは、けっして他人に誠実であり得ない」(夏目漱石)