・アドラーは言う。「私たちの文化のなかで、誰が一番強いか自問すれば、赤ん坊であると言うのが論理的な答えだろう。赤ん坊は支配するが、支配されることはない」と。赤ん坊は、その弱さによって大人たちを支配している。そして、弱さゆえに誰からも支配されないのだ。
・傷を負った人の語る「あなたには私の気持ちがわからない」と言う言葉には、一定の事実が含まれるだろう。しかし、自らの不幸を「特別」であるための武器として使っている限り、その人は永遠に不幸を必要とすることになる。
・人生は競争ではない。誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いていけばいい。もちろん、他人と自分を比較する必要もない。健全な劣等感(向上心)とは、他者との比較のなかで生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるものだ。
・あらゆる競争から自由になれ。われわれが生きているのは、誰かと競争するためではない。いまの自分よりも前に進もうとすることにこそ、価値がある。
・対人関係の軸に「競争」があると、人は対人関係の悩みから逃れられず、不幸から逃れることができない。なぜなら、競争の先には、勝者と敗者がいるからだ。延長線上には、他者はライバルではなく、いつの間にか、他者全般のことを、ひいては世界のことを「敵」だとみなすようになる。たとえ勝ち続けていようとも、競争の中に身を置いている人は心の休まる暇がない。敗者になりたくない。そして敗者にならないためには、つねに勝つ続けなければならない。他者を信じることができない。社会的成功をおさめながら幸せを実感できない人が多いのは、彼らが競争に生きているからだ。彼らにとっての世界が、敵で満ち溢れた危険な場所だからだ。
・私の若い友人が少年時代、長いこと鏡に向かって髪を整えていたそうだ。すると彼は、祖母からこう言われた。「お前のかを気にしているのはお前だけだよ。」と。それ以来、彼は生きていくのが少しだけ楽になったという。