作家 フランツ・カフカの仕事場を見にいったことがあります。狭い部屋でしたが、頭の中は広い宇宙のようだったのでしょう。
村上春樹さんが紹介しているカフカのエピソードを子どもに関わる全ての方にお伝えしたい。
カフカが恋人と一緒に散歩していると、公園で小さな女の子が泣いている。どうしたのかと聞くと、人形がなくなっちゃったと言う。そこで、カフカはその子のために、人形からの手紙を書いてやることにした。本物の手紙のふりをして「私はいつも同じ家族の中で暮らしていると退屈なので、旅行に出ました。でもあなたのことは好きだから、手紙は毎日書きます」みたいなことを。実際に、カフカはその子のために一生懸命、毎日偽の手紙を書き続けた。「今日はこんなことをして、こんな人と知り合って。こうなって」と3週間くらいずぅーと書いていって、女の子はそれによって少しずつ癒されていく。
最後に、人形はとある青年と知り合って結婚するストーリーにした。「だからもうあなたにお会いすることはできませんが、あなたのことは一生忘れません」それで、女の子はストンと納得できた。
そんなマメなことは、普通の人にはできません。ぜんぜん見ず知らずなのに。
本当に素晴らしいお話です。
ちなみに、私が村上春樹さんの小説で一番好きなのは、「海辺のカフカ」です。
そして、外国に行ったことを思い出す度に、世界中が平和であってほしいと思うのです。