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コスパを子育てに当てはめるな

人生というのは思い通りにならないことの連続といって良い。いくら頑張っても思うような成果につながらないことはいくらでもある。そのたびに傷つき、落ち込み。心が折れたなどと言っていたら、厳しい社会の荒波を乗り越えていくことなどできない。

忙しい親たちがコスパを求めている。結果として、子どもの自発性が奪われたり、子どもが失敗しながら試行錯誤を奪われたりする。コスパというと良いことのように受け止めがちだが、それは努力をできるだけ節約しようという発想とも言える。日本人の仕事の正確さや熟練工の丁寧な仕事は、惜しみなく手をかけることで成り立っているのであり、コスパとは正反対の発想のもとではじめて可能なものと言える。子育てや子どもの教育も、惜しみなく手をかけるべき仕事であり、そこにコスパという発想を当てはめるのは適切とは思えない。

親にとって、負荷をかけずに褒めていればいいというメッセージは、非常に魅力的なわけだ。ゆえに、「叱らなくていい」「褒めればいい」と言われると、世の親たちはついそっちの方に走ってしまいがちだ。その手の本は売れるし、セミナーも賑わう。子育て中に親はそういうトリックに騙されないようにしたい。

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