『脳からストレスを消す技術』(有田秀穂・サンマーク出版)では、人間の2大ストレスは、「依存症」と「逆恨み」とされています。
□まず一つ目の「快が得られなくなるストレス」ですが、これは人間にとってよくあるストレスであり、かつ、とても大きなストレスです。たとえば、パチンコで大当たりして玉が出るのは気持ちのいいものです。つまり、「快」ですよね。ところが、どんな大当たりでも玉が永遠に出続けることはありません。いずれ玉は出なくなります。すると、それまで大きな「快」を得ていただけに、玉が出ないことが「不快」つまり「ストレス」になってしまうわけです。アルコールという「快」を得すぎたために、アルコールがないとイライラしてしまうのも同じ仕組みです。インターネットやゲーム、買い物に没頭する人もよく耳にします。これが厄介なのです。なぜ厄介なのかというと、失った「快」を求める気持ちが強くなりすぎると、「依存症」という病気になってしまうからです。失った「快」に執着しすぎ、心のコントロールがきかなくなった状態、それが「依存症」です。そして、これは誰もがなりうることなのです。
□もう一つの「自分が相手のためにと思ってしていることが、正当に評価されないことによって生じるストレス」もなかなか厄介なストレスです。なぜなら、これは自分ひとりでは解決するのが難しいストレスだからです。しかも、程度の差こそあれ、このストレスはほとんどの人が経験しているものです。たとえば、毎日家族のことを思って家事をしているのに、「ありがとう」の一言も言ってもらえない主婦。上司やクライアントのために徹夜までして仕事をしたのに、評価してもらえなかったサラリーマン。また、一生懸命勉強しているのに、もっともっとと言われてしまう受験生。恋人のことを考えて選んだプレゼントを、気に入ってもらえなかった彼(彼女)・・・。みんなこの「正当に評価されない」というストレスを感じています。ただ、自己評価と他者評価の間にギャップが生じるのは、ある意味仕方のないことなのです。必ずしも自分が悪いだけでも、相手が悪いだけでもありません、ここを履き違えることで、つい、「逆恨み」のような言い争いに発展してしまうのです。
涙
人間には、他の動物にはない「抗ストレス能力」が備わっています。しかもそれは爆発的な効果を持つ、秘密兵器のようなものです。
それは「涙」です。
人間にしか流せない涙を「情動の涙」と呼びます。それこそが、脳の中のストレスを一気に洗い流してくれる秘密兵器だったのです。類人猿の中でも高い知能を持つチンパンジーですら「情動の涙」を流すことはできません。嬉しいとき、悲しいとき、感動したとき、そして他人に同情したとき、人は涙を流します。私たちは何気なく泣いていますが、これは生物学的に見ると、人間しかできないとてもすごいことなのです。
<涙の数だけ強くなれるよ アスファルトに咲く花のように>