暁星中学校の安次嶺隆幸先生のお話をお伺いしたことがありました。
<将棋で言えば、投了(=負けを認める)から感想戦までのプロセスが「気持ちを折りたたむ」ことにほかならない。私たちは子どもたちにも、一局が終われば必ず感想戦をさせている。そして将棋に限らず、このような時間をもつことが子どもには欠かせないのである。思えばむかしの子どもたちのほうが、一日の終わりに気持ちを折りたたむ時間に恵まれていた気がする。夕食の団らんのときに、きょう学校で何があったかを親に話す。親がそれについて感じたことを伝える。それによって子どもは、きょう一日の自分のふるまいを見つめなおし、客観的にとらえなおすことができた。ところがいまは、世の中の強迫観念的なスピード化と情報化に親子ともに追われてしまい、親はつい「早くしなさい」「早く寝なさい」としか言わないタイムキーパーになってしまいがちである。それでは、子どもたちは気持ちを折りたたむことができないまま一日を終えなければならない。>
夜は気持ちよく寝て、朝元気に起きるのが一番だと私は思います。
もう一つ。
<子どもの伸びしろをつくるために大切なことがもうひとつある。それが「間違えることを恐れない」ことである。>
□この詰将棋を解いてください。ただし答えが間違っていても、1手しか書いていなくても、何か記入してあればすべて正解とします。
というアンケートに対して、少なくとも何か書いた生徒は、
1984年=78%
2005年=43%
「間違えてはいけない」「間違えたら恥ずかしい」という気持ちを植えつける教育が浸透してしまった結果として、衝撃的な結果です。
私は記述の添削で、「まずは書くこと」のハードルが年々高くなっているのを実感します。