ハチドリのひとしずく 辻信一
森が燃えていました
森の生きものたちは
われ先にと逃げていきました
でもクリキンディという名のハチドリだけは
いったりきたり
くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをしていったい何になるんだ」
といって笑います
クリキンディはこう答えました
「私は、私にできることをしているだけ」
慶應義塾女子高等学校の入試問題(令和2年)の作文の課題でもあります。この文章を読んで、あなたの考えを600字以内で書きなさいという出題です。今年の生徒で自主的にチャレンジした生徒がいましたが、将来のクリキンディです。そういう人に私もなりたい。