・知り合いの高校生の娘さんは、将来はドイツに住んで靴職人と結婚したいと言っているそうです。ドイツは日本と違って、職人を大事にし、尊敬しる国だからというのが理由らしいのです。日本にも、幸田露伴の「五重塔」の主人公のように、愚直だけれど、大工としての腕は日本一という職人さんがいて、本人も誇りに思い、周りも尊敬するということがあったように思います。
・「できていないたくさんのこと」を数えるよりも、「できている少しのこと」を認めてあげるという姿勢は大切です。子どもが全く何もできていないということはあり得ないからです。不登校の子どもを例にとってみましょう。「今月は、三日しか学校へ行けなかった」と嘆くのではなく、「三日も行けた。良かった」と肯定的に考えてあげれば、子どもも親も救われます。全く行けない状態だった子どもが、ある日、行こうと決心して家を出たものの、学校へ着く前に気分が悪くなって戻ってきてしまった場合も、「結果として行けなかったとしても、行こうとして、途中まで行けた。すごい進歩だ」と考えることが重要です。
・子どもが何も喋ってくれないという親の心配の中には、子どものことを全部知っていなければならないという思い込みや不安があるのでしょう。しかし、自立をしていくということは、むしろ、親に秘密をどんどんつくっていくということです。ですから、子どもが親にあまり話さなくなったら、子どもが一人前になったのだと考えて、そのことを喜んであげれば良いと思います。自立とは、親ばなれと同義です。