子どもたちに、お父さんお母さんが働いていること、それがどんなに大変なことか、またその大変さを伝えずに子育てをされているのが、どれだけ尊いかを伝えるのは、塾の役目では?と思っています。代弁者が必要な場面があります。
漁師さん
ドラマなどで漁師さんの役を見ると、言葉が荒っぽいことに気付きます。でも、言葉が荒くなるのは、第一にエンジン音や波の音でうるさいので、大声を出さなければならないこと。さらに、一瞬、一瞬で海の様子が変わるので、仕事の指示は簡潔にしなければなりません。一つ間違うと命にも関わるので、大声で短い言葉を怒鳴りあうように聞こえるということです。
さらに、海は規則だらけ。(地理の授業でも一部を習いますね)。領土問題、海洋資源の保護、操業海域、操業時間、禁止区域、禁止期間などのさまざまな漁業規則を知るだけでなく、漁業権や漁業共同組合についての知識も必要です。もちろん、船についての知識も必要。漁船を動かすには、小型船舶操縦士や海技士の資格も必要です。もちろん、魚の知識、海洋の知識、気象学も必要。
パン屋さん
料理漫画などを見ると、新しい発想の新料理を発明する主人公などが描かれたりしますが、町のパン屋さんの場合は、「常に同じものを作る」能力も求められます。お客さんは、毎日同じパンを食べたくて買いにきます。その日によって、味が違っていたのでは困ります。
ところが、パンは、原材料である小麦粉、水、塩、酵母菌のどれかがほんの少し変わっただけで、味は変わってしまいます。その上、気温や湿度などといった天候の要素、また、パンを焼く窯の状態によっても左右されます。
普段、何気なく食べている「パン」を「いつも同じ味」にさせるのは、実はすごい努力と技があるのです。
横浜の有名なPというパン屋さんに知り合いがいます。フランスパンが有名ですが、夜2時に出勤して仕込みをされています。店舗で焼くための発酵時間を考えると、9時開店に間に合うにはその時間になります。