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月と六ペンス

毎日、自己の嫌いなことを2つずつ行うのは、魂のためによいことだ。
(サマセット・モーム)

本に出会う

小説「百花」(著:川村元気/文藝春秋)を読みました。テーマは認知症。

作者の川村元気さんの祖母が認知症になり、それが執筆のきっかけになったそうです。
「そもそも、『あなた誰?』ってすごい問いですよね。『僕の名前は川村元気で、映画を作っていて、好きな食べ物はシュークリームです』みたいに話したところで、果たして自分であることを証明できるのか」

現在、日本の認知症患者は約500万人。これからますます認知症という病気は身近に感じられていきます。

川村元気さんは、最近だと、映画「天気の子」のプロデュースでも有名です。川村さんが関わった映画作品は「君の名は。」以外にも、「モテキ」「宇宙兄弟」「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」「何者」「未来のミライ」など綺羅星のごとくです。

川村さんは、ハリウッド映画界と日本映画界の違いをこう語っています。

<世界中の人がみる前提になっていること。だから、『多様性の世の中で、主人公の少年少女が2人とも白人っていうのはあり得ないよね』という議論になる。ネイティブアメリカンの女の子とシカゴに住む男の子って発表されているんですけど、『そのシカゴの男の子も白人なの?』と。日本だと、当然どっちも日本人。人種をどう考えるかという視座が入ってくるのは、全く違うなと思います>

<小学校に入る前、幼稚園にも保育園にも行っていなくて、家にテレビもなかった。社会というものに触れずに育ったんです。それで小学校に行ったら、『世の中に子どもがこんなにいるんだ』とまずびっくりした。ある日、『明日は図工の授業があるから、粘土板を買ってきてください』って先生に言われたんです。僕は色がきれいだと思ってピンクの粘土板を買ったんですけど、次の日学校に行ったら、男子全員が青で、女子がピンクだった。はやし立てられながら、内心すごく怒ってたんです。『そのルールは誰が決めたんだ?』>

良い本や良い映画に、たくさん触れることは、大きな財産です。

silhouette of man standing near body of water
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