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漢字学習の意義

「ハーバードの日本人論」(佐藤智恵・中公新書クラレ)より。

□一般的に日本人のデザイン感覚は他国の人々に比べても優れていると思う。おそらくその要因は、高い教育水準と日本語の文字にある。漢字を学べば均整や意匠の感覚が自然と身につくし、日本人は子どもの頃から漢字とひらがなとカタカナをしっかり学んでいる。それだけで、デザインセンスが身につく。

□「(油絵のように)上から塗りつぶして書きなおせる」西洋画と、「一発勝負でアウトラインを引き、色を重ねていく」日本とでは全く違う精神が必要となる。

大人になってからは、パソコン等で「入力」という作業になってしまうので、漢字練習は小学生のうちにしっかりやっておきたいもの。しかも、間違った漢字を覚えないように1回目が大切。

母音の連続

井上ひさしさんの著書に「日本語教室」(新潮新書)があります。上智大学で行われた講義の内容をまとめたものです。

□本居宣長の歌に<しきしまのやまとごころを人問わば朝日に匂う山桜花>というものがあります。「やまとごころ(大和魂の意味)」の母音は、「アアオオオオ」です。やまとことばには、こういう母音の連続が非常に特徴的にあるということです。

この文を読んで、私は横浜市港南区の地名である<上大岡(かみおおおか)>を連想してしまいました。日本語は、子音で終わらず、母音で終わることが特徴です。この必ず母音が入るという影響で、どうしても一つの語が長くなる言語でもあります。

□ところで、英語やフランス語だと2時間くらいで終わる芝居を日本語に翻訳して上演すると4、5時間もかかることをご存じでしょうか。「わたし」と「I」「Je」を比較してみるだけでわかりますね。ですから、今の若い人たちがテンポの速い曲に英語の歌詞をつける気持ちはよく分かります。英語なら10秒で言えることが、日本語では13秒かかるからです。だからといって、一人称を「わ」だけに略してしまったら、どうなるでしょうねえ。

英語の発音を練習する前に、日本語を「きれいに話せているか?」は大切。中学生や高校生になって、国語の授業中に音読をさせる先生はほとんどいないのではないでしょうか?小学生のうち、それも低学年のうちは、「音読」を意識的に大切にされてはどうでしょうか。

特に低学年のうちがポイントです。題材は、小学校の教科書でも良いと思います。

person doing japanese calligraphy on white textile
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