風の音、谷川の音、波の音、鳥や虫の声。(心の中で、想像ください)
これらは昔から「無音の音」といわれています。
音がない音という意味ではありません。
善悪の考えが何一つない、という意味です。
木のはっぱは、そよ風には小さく応じ、強い風には、大きく応じて、葉をふるわせるのみ。ただ、相手に応じて、変化すればいいということを教えてくれます。
海を眺めたり、富士山をめでたり、夕焼けに涙したり、月を祈りをささげたり、世界の中でも日本人は、自然を愛し、そして、その自然と自分の人生を比べて生きてきました。
中国には、人生のことを「一炊の夢」ということであらわすことがあります。
ご飯が炊き上がるのにかかるぐらいの短い時間だということ。
日本でも非常に有名な人が同じことを言っています。
「古池やかわず飛び込む水の音」(松尾芭蕉)
人生とは何か?と禅問答を仕掛けられた芭蕉が、こたえたのは、かえるが飛び込むときの「ポチャン」という音ぐらい短い時間だと。