褒める
主演の渥美清は、山田洋二監督に褒められたことを人に語った。
「きみの眼は、ちっちゃいけど、キラーっと強く光るよ。よく利く眼だよ」
眼力のある人が自分の弱点を本気で肯定的に評価してくれれば、勇気も湧くし、信頼関係
できる。渥美清ほどのプロの役者でも、ほめてくれるコメントが効くのだ。こどもたちなら、なおさらだ。
□心理療法の世界でも、近年良い所を拡大して見るソリューション・フォーカスという手法が出てきている。過去の原因を探るよりも、これからを変えるという結果重視のやり方だ。アルコール中毒ならば、飲まない時間帯に注目する。「私は全然だめだ」という全否定から「そういえば、だめでないこともあった」と肯定的な気持ちへ切り替えていく。教育は、ほめて励まして「やる気と成果の好循環」をつくるのが王道だ。
任せる
□幸田露伴は幸田文を育てる時に、わざわざ「論語」の先生(近所のおじいちゃん)を雇った。幸田露伴自身「論語」などには、詳しいのだから自分が教えればいいのだけれども、親子ではできないことがあると考えたのだ。この先生は、文を盛り場に連れていくなどして、世の中のことをあれこれ教えている。月面宙返りの創始者である五輪金メダリストの塚原光男氏は、息子の直也を育てるに当たって、元世界チャンピオンのアンドリアノフをコーチにつけた。