「男の子が幼い」と言われるようになって久しい。これは、私が塾講師を始めた30年前からも言われ続けていたことなので、大きい理由の一つは男女の発達段階の違いであろう。また、母親をはじめとする幼児期の男子に関わる大人の大半が女性ということもあり、自分の幼児期と無意識に比較して「乱暴」「がさつ」「下品」というレッテルを貼るからかも知れない。
中高時代になった男子のことを考えたい。家庭ではありのままに振る舞うことを否定され、塾や学校では強い女子の目を気にして生きてきた男子は、第二次性徴期を迎えても、従順で自己主張の弱い、少し前に流行った言葉で言うと「草食系男子」になってしまう可能性もある。もちろん、草食系には草食系の良さがあるし、そう言う気質の子どものいるので否定しているわけではない。(ここでは、草食系を「自分の意志を持たない」とか「元気や覇気がない」というマイナスのニュアンスを加味して書いています)
「男子校としての存在意義」は、「幼い男子を一人前の紳士にする」ことでもあると思う。
男子校に通っている生徒の大半が、「楽しい」「のびのび」と言う言葉を使うのは、大人になるための脱皮を自然と行っているのではないだろうか?そして、共学校に行ったとしても、男子だけの部活に入学するもできるし、同性のみの友人と親の手を離れて遊びに行ったりすることで、「擬似男子校」を味わえる点も大事なことではないか。
