「親子喧嘩」
ある講演会で、「今月、親子喧嘩をした方はいらっしゃいますか?いらっしゃったら挙手をおお願いします。」と聞いたところ、ほとんどお方が手を挙げられました。これは、中学受験の保護者の方以外もご参加できる場でしたので、子育ての大変さを物語るエピソードだと思います。私が、続けてお話をした内容をご紹介します。「年齢が近い兄弟がいたとします。おそらく、お菓子の量が多いとか少ないとか、なんでもないことを理由に、毎日のよう兄弟げんかをします。わたしは1歳違いの弟がいるのですが、プロレスごっこをしていたらいつの間にか本気になっていたなど、今思えば親は大変だったんだろうなと反省します。これは、精神的にも肉体的にも近いから起こることです。でも、これが10歳違いの兄弟だったらどうでしょう。高校生と小学生のように年齢が離れると、いちいち兄は弟のやることに腹を立てたりはしないでしょう。中高一貫校では、高校生と中学生が一緒に部活をやったりしますが、一つ上の先輩は厳しくても高校生の先輩は超優しくて大好きという図式があるそうです。では、30歳の開きがあったらどうでしょうか。親子は長時間いるからこそ喧嘩のネタには尽きないと思いますが、まだまだ未熟で幼いところも歩いからしょうがないか、と思えるとネタが半分くらいに減ってくれると思います。新渡戸稲造は、武士道に「夫婦、親子、兄弟の間でも考え方の違いがあるのはやむを得ないことである。人それぞれに考え方が異なることは、顔がみな異なるのと同じで、お互いが相手を理解しなければならない」書いています。
ただし、親子げんかを全否定する必要はありません。ワシントン大学の追跡調査によると、ケンカをしている家族のほうが、一時的には生活を揺さぶるものの、長期的に見ると互いの満足感を向上させるというデータがあります。ケンカもコミニケーションの一つになっているのでしょう。私は、お互いに「無視」をしている状況の方が深刻だと思います。
<相談に乗る>
「相」はもともと「助ける」という意味で使われた言葉です。(内閣総理大臣を「首相」、外務大臣を「外相」というのは、昔は天皇・今は国民のかわりになって「その仕事を助ける役目」ということ)相は木を見ると書きます。樹木の盛んな生命力は見るものの生命力を助けて盛んにするというところから生まれた字です。つまり、人間と樹木との関係から「お互いに」という意味も入っています。たから、相談とは一方的に話を聞いたり、また、「こうするべきだ」と切り捨てるのではなく、お互いにしっかりすることが重要です。
<コミニケーションのヒント>
学校の保健室の先生に聞いた話です。生徒からの相談を増やすためには、「今は暇だよ」オーラを出すことだそうです。どうしても、忙しい時には「今は話しかけるなよ」オーラを大人は出しがちなので注意です。
<家族会議のルール>
フィンランドの小5が作った会議のルールです。会社の会議でも使える内容です。
1. 他人の発言をさえぎらない
2. 話すときは、だらだらとしゃべらない
3. 話すときに、怒ったり泣いたりしない
4. わからないことがあったら、すぐに質問する
5. 話を聞くときは、話している人の目を見る
6. 話を聞くときは、他のことをしない
7. 最後まで、きちんと話を聞く
8. 議論が台無しになるようなことを言わない
9. どのような意見であっても、間違いと決めつけない
10. 議論が終わったら、議論の内容の話はしない
<飛行場>
親子関係は、飛行場のコントロールタワーと飛行機の関係のようなものだと聞いたことがあります。ラグビーとその監督という例えも同じことを示しています。
実際に勉強をしているのは、子どもたち。注意したいのは、コントロールタワーが口を出しすぎてしまうことです。あくまで飛行機を操縦しているのは、パイロットです。コントロールタワーは、高度や方向などの大局的な情報をキャッチして伝えるのが役目です。「ああ飛べ」「こう行け」「そのボタンを押せ」と細かい命令までしてしまったら、かえって危ないことになります。現実に、コントロールタワーからの余計な指示で、判断を誤ることもあるそうです。