親孝行

中国（元）の郭居敬がまとめたといわれる「二十四人の親孝行の逸話集があります」

その本を元に、親孝行の奥深さを伝える落語があります。

「中国にいた呉猛（ごもう）という者の家は、夏になっても貧乏で蚊帳が吊れない。母親が蚊に悩まされて眠れぬのをみた呉猛は、安酒を買ってきて裸になり、酒を全身に吹き付けた」

「おい、それじゃあ蚊に刺されすぎて大変なことになるよ。蚊は酒の匂いに集まるんだから」

「でも、その夜に限って蚊は一匹も出なかったということだ、親孝行の気持ちに神様が応えたんじゃないかね」

その話を聞いたある男は、自分も試してみようと、寝る前に酒を全身に吹き付けました。さらに余ったお酒を全部飲み干して、いびきをかいて寝てしまいました。翌朝・・

「おお、ひとつも蚊に刺されてねえ。おれの親孝行の気持ちにも、神様が応えてくれたんだろうな。なあ、おっかさん」

「何を言ってんだい、あんたは・・・。あたしが夜通しうちわであおいでたんだよ」

わが子を思う親心は、海よりも深し。