相談を受けるとき
医師である鎌田實さんの著書「言葉で治療する」(朝日新聞出版)より。
□会話のときの位置関係も大切である。ベッドに寝ている患者さんに、こちらが立っていると、患者さんが医師を見上げるかっこうになり、上下関係ができてしまう。医師がいすに座ると、患者さんとの関係が近いものになる。それだけでも話しやすい空気がつくられるのである。しかし、ときには視線をはずすことも1つの大切な技術である。この技術は子どもと大事な話をするときにも役立つ。ぼくは、患者さんの診察をしたあと、患者さんがベッドの縁に腰掛けているとき、その横に座らせてもらう。二人で同じ窓の外の八ヶ岳を見ながら話をする。目線を外すのである。ぼくの体温が横に座っている患者さんに伝わっていく。なんだかそれであたたかくなる。同じ景色をみながら会話をしていると、ふだん話さないような悩みを話してくれるようになる。
「時に癒し、しばしば慰め、そして常に励ます」
お弁当
食育というと栄養素が語られますが、小さいうちの食育は「誰がつくってくれたのか」に注目したいもの。
種田山頭火を紹介します。
『そのおべんたうをかみしめてあなたがたのこと
けふのべんとうは橋の下にて
けふのべんたうも草のうへにて
食べてゐるおべんたうもしぐれて
空たかくべんたういただく
けふも大空の下でべんたうをひらく
おべんたうをひらく落葉ちりくる
けふのべんたうは岩のうへにて
けふのべんたうは野のまんなかで』
『岩にならんでおべんたうののこりをひろげる
枯草につゝましくけふのおべんたう
ぴつたり身につけおべんたうあたゝかい』