野球部監督S先生
・技術指導では、生徒に「聞く」ことを大切にしているい。例えばピッチング練習をしている生徒に対して、「いまはどこを意識しているの?」と質問。その答えを聞いてから、具体的な指導に入る。「最初に水を向けることが大事。その子の目線、注意、関心がどこにあるのか。それを知ってから指導を始めた方が、子供は関心を持ちやすい。子供の目線と指導者の伝えたいことがズレていると、あまり意味がないですよね」
・映像を使うことも重視している。撮影した動画を見せて、「どう思う?」と聞く。目の前に客観的な材料があるので、より具体的な内容に入っていきやすい。今の子たちは、視覚から認知することに長けている。これだけ機器も発達しているわけだから、使わない手はない。
・生物学的な誕生がこの世に生まれた日だとすれば、中学生は人間の精神活動、自我が誕生する日だと考えても良いと思う。
コーラス部顧問T先生
・子どもたちから教えてもらったことをシンプルに言えば、「やればできる」。
・体育と音楽の授業を見れば、その学校のことがおおよそわかる。手を抜きがちな授業にこそ、生徒の本質が見えてくる。提出物もそんなにないので、崩れる時は、簡単に崩れていく。
・コーラス部の指導は、「混声」にこだわっている。もし女子だけであれば、「男子が声変わりがあるから、待つことが大事」という気持ちがわからない。声変わりでは、今までと違う質の声が出ることがあり、その声を聞くことで、女子も待つことの大事さを実感できる。
・指導者はえてして、その曲の入り込んでしまう。入り込みすぎると、見えなくなる部分も多い。どこかであえて距離を置いて、外から見る作業が必要になる。
演劇部顧問0先生
・演劇を通して伝えられることはたくさんある。一番は、「きみは必要な存在なんだよ。きみがいないと、演劇はできないんだよ」ということ。
・部活動は、まずは「ここは安心できる場所なんだ」と思ってもらうことが第一歩。
マーチング部顧問Y先生
・マーチングの世界では、「1歩=62.5センチ」と決まっている。全員がこの規定通りに動けば列がズレることはないが、そこは人間のやること。そう簡単にはうまくはいかない。
・理不尽に耐えすぎる必要はないが、子どもにはそういうこともあると知ることも大事だと伝えている。理不尽だと思っていたことが、よくよく考えてみれば、「こういう意味だったんだ」と思えることも多い。
・勝つものは一握り、考えようによっては、ほとんどの人が負け組。たとえば、甲子園常連の強豪校。5番バッターで活躍していた子がいたとします。でも中学時代は4番を打っていて、本当は高校でも4番を目指していたかもしれない。ライトをやっている子も中学時代はエースで、エース争いに敗れた子かもしれない。そうやって、「プチ挫折」を何度も繰り返しているはずだ。だから、負け方にはこだわりたい。これだけ一生懸命やったんだから、負けても仕方がない。と納得できるところまで持っていくのが、指導者の仕事。
テニス部顧問A先生
・前衛は勇気、後衛は根気。
・初日は負けていい。大事なのは最後の試合で勝つこと。
・夏休み明けに、練習試合の相手をどこと組むかが、指導者の腕の見せどころ。夏休みに練習をした結果、勝てる相手を選んでくる。ここがポイントです。取り組みの成果をいかに実感させるか。成長している自分を、嫌いな子はいないだろう。
・相手の表情を読む洞察力を持っている子ほど強い。逆にうちの生徒がミスをした後に下を向いていたら、注意をします。相手がどんなことを考えているかを見抜く洞察力は、日常生活にも必ず繋がっていく。
・「会議などで顧問がいないときに、どれだけ生徒同士で意識の高い練習ができるかが大事」と考える場合もあるかも知れないが、中学生にそこまで求めるのは無理ではないか。中学生はまだ、大人がそばについていてあげなければいけない時期だと思う。
・笑いと遊びが、道を切り開く。