太宰治 文学の魅力
東京大学教授・安藤宏さんの講演会の内容で、心に留まった内容です。
太宰治は「青春のはしか」なんて言われていたこともあります。人間は歳をとればとるほど、自分がどれだけ偉いかを肯定的に語るような傾向がありますが、実は自分の欠点ばかり目についてしまう中高生時代の子どもたちの感性の方がはるかに真っ当だと思います。「個性が大切だ」と言いますが、実際、個性はそんなに肯定的に語れるものではありません。「みんなはできるのに私にはできない」というマイナスな形で自覚されることのほうが多い。実は第三者から見るとそれは何ものにも代え難いその人の特色だったりするわけですが、個性は本来、否定形でしか話せないものだと思います。太宰の作品は、そこに訴えかけてきます。「太宰は卒業した」とニヤニヤ笑いながらいう人には、本当に腹が立ちますね。さんは、ずっと卒業しないでください。
学校説明会では、明るい青春時代が語られますが、内面を深める時代であることも間違いありません。皆さんの中高時代はいかがだったでしょうか?