私は、2007年を一つの大きな区切りとして中学受験をとらえています。この年が、学校数と受験者数というバランスを考えると、過熱と呼ばれる中学受験のピークです。ちなみに、その翌年からリーマンショックにより、中学受験は衰退の歴史に入ります。
2007年がピークの理由は、2002年の「ゆとり教育」という文科省の教育改革への反動です。円周率が3.14→3となるなどの改革について、日能研が大きく批判するキャンペーンを行ったことが、中学受験の隆盛へとつながりました。ゆとり教育の際に小学生になった子どもたちの親が、このまま公立中学へ行くのがやばいと思い塾通いを始めるという流れとなりました。(このようにブームには、タイムラグが生じます。)
臨海部の大型マンションの建設ラッシュにより、地方からの人口流入が進み、首都圏の中学受験者数が増加しました。特に沿岸部の学校に人気が集まりました。同じく、埼玉の学校のブレイク、つまり1月受験校の増加したのもこの2007年です。栄東が東大選抜という名称をつけるなどの学校改革が進んだことも大きな理由の一つです。現在では、1月受験を受けるのが当たり前のように言われますが、それ以前は本当にお試し受験の意味合いが大きなものでした。
渋谷教育学園渋谷などのいわゆるニューウェーブ校よりも、山脇学園や三輪田学園中、東京女学館に代表されるような伝統校に人気が集まるという報道も、2007年になされています。去年あたりから、普蓮土や三輪田が人気を回復しており、「伝統校に目が行くようになった」という塾やマスコミの分析もあるようですが、バイオリオリズムの中の数年を切り取っての分析には意味がありません。(もし、確信犯ではなくそういう分析をしているのであれば、数字しか見れない残念な方です。)
18年前のことではありますが、塾業界に20年以上いる人、しかも最前線にいる人はそんなに多くありません。長期的な視野で分析をするというのは大切だと思いますし、これからもそうしたいと思います。
2006年(おまけ)
・2005年の都立白鴎、2006年都立小石川、都立両国、千代田区立九段の公立中高一貫校の開校も、私立中学しか考えていないご家庭に中学受験を考えさせる要因となって、受験増を後押ししました。