棋士・羽生善治
「3つめの選択肢には気をつけろ」
次の手を考えるときに、有力な選択肢が2つあったとき、1時間、2時間と考えたあげく、3つ目の手が思い浮かぶことがある。それが正しいときもあるが、外れが多い気がしている。最後に思いついた手は慎重にしないとミスにつながる。「長考に好手なし」とは、棋士の実感からきている言葉だ。
志望校をA校とB校にどちらにするかを1年以上悩んだあげくに、入試直前にC校に切りかえたいのですが~というご相談を受けることがあります。そんなときこそ、慎重に。
反省はしても後悔はしない
「反省はしても後悔はしない」
風向きや審判の誤審があるスポーツと違って、将棋には偶然はない。
対局は、公開の場で行われ、自分が指した手の責任はすべて自分にある。だから、あまり自分を直視しすぎると、自己否定につながることが多い。自分に厳しい人は、将棋には向いていないのかも知れません(笑)。
忘れる技術もまた、決断の積み重ねである勝負師に欠かせない能力なのです。