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アドラー心理学

・アドラー(フロイトと袂をわかった)の心理学の大きな特徴の一つとして、それが育児と教育を核とした心理学である、という点が挙げられます。

もちろん、もっと大きく「幸福とはなにか?」「生きる目的とはなにか?」といった哲学的な広がりをもった心理学ではありますが、その中心的課題として、育児と教育が掲げられていることは確かです。
今回は、そんなアドラー心理学の立場から、子どもの挫折や失敗について考えていきたいと思います。

まずは、失敗とは、その場限りで終わるものではありません。
受験であれ、失恋であれ、あらゆる失敗は、もう一度挑戦しなければならない課題です。
失敗によって立ち向かう勇気をくじかれ、人生の課題から逃げたままでは、これからもなにごとにも挑戦できない人間になってしまいます。
ですから、子どもが勇気をくじかれているとき、まず考えるべきは、「もう一度挑戦する環境」を整え、必要な援助をすることです。

このとき、アドラー心理学では「勇気付け」というアプローチを取ります。
いきなり「勇気付け」などと言われても、なかなかピンとこないでしょう。
一般に、子育てでは「ほめて育てること」が一番だとされていますが、勇気付けと褒めることは、じつは全く違うアプローチなのです。
むしろアドラー心理学では、ほめることを認めません。

例えば、子どもが家事を手伝ってくれたとき「えらいわね」と褒める母親がいます。
しかし、自分の親や夫が家事を手伝ってくれたとき、「えらいわね」と褒めるでしょうか?おそらく、「ありがとう」と感謝の気持ちを述べるはずです。
このように、褒めるという行為は、「能力のある人が、能力のない人に下す評価」であって、親は子どもを自分より低く見ているからこそ、ほめることができるわけです。

しかし、大人も子どもも本来は対等な存在であり、上下ではなく「横の関係」を築くべきだ、とするのがアドラー心理学の考えです。
もちろん子どもは身体的にも大人と違いますし、経験も充分とは言えず、知識の量にも差があるでしょう。
小さな子どもは服の着替えさえ、自分ひとりでは満足にできないものです。
ですが、これはいずれも本質的な違いではなく、せいぜい「できることの量」や「取れる責任の量」が違うに過ぎません。
子どもと大人が「同じ」だとは言いません。
さまざまな面で違いがあるのは当然です。
「同じではないけれど対等」なのです。
子どもを子ども扱いすることなく、対等な存在として横の関係を築くこと。
上からほめるのではなく、しかりつけるのでもなく、横から「勇気づけ」の言葉をかけること。
それができるだけで、子どもの成長に大きな変化が出てくるはずです。

photo of family standing outdoors during golden hour
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