桐光学園さんに伺ったときの話です。最寄り駅は、栗平駅と柿生駅。学校さんに徒歩で向かった時に、栗と柿の実がなっているのを見つけました。
桃や栗や柿のような植物であっても実をつけるには大変な年月がかかります。
人間の教育はもっともっと長い年月をかけて完成するものであろうと思います。
武者小路実篤は、『だるま(達磨和尚)は九年、おれは一生』ということばを残しています。
本との出会い
読書の秋です。
「小学生のための読解力をつける魔法の本棚(小学館)」という著書を出されている麻布の中島克治先生の言葉が示唆に富みます。
・ 本との出合いは、せまい意味での目的-国語の成績の上昇-だけでなく、子どもたちの人間性を高めることにつながっていく。
・ 本をよく読む子は感情が豊か。それは感情的ということではなく、感情をうまくコントロールできるという意味。人の心の奥深くを察することができるから、相手をむやみに傷つけることもないし、トラブルも防げる。
・ 読解力とは、文章を読み、書いてある内容や行間にこめられた想いをくみとる力であり、筆者という人間と向き合うこと。読解力とは「人と向き合える力」のこと。
・ 「人と向き合うこと」は、同時に「自分とどう向き合っていくのか」という内面の豊かさや想像力にも通じる。日常生活の中でこそ、こういった読解力が必要とされている。
・ 音楽や図工などの実技科目を大切にできないと、いずれ他の教科への知的好奇心さえも持てなくなってしまうのではないかと思う。勉強のために芸術に親しむわずかな時間をも取り上げてしまうのは、結果として子どもの学習への意欲までもぎとってしまいかねないということを、ぜひ心にとどめておいてほしい。
・ 読書は読解力をつけるために最も効果的な方法。読み進む中で「次はどうなるんだろう」と、書かれていることを理解しようとしたり、想像力をふくらませることで、人間のさまざまな感情や行動を知り、想像することができるようになります。同時に、読解力とは、日々の生活の中でさまざまな気持ちや体験が、子どもの内面で言語化され、根付く中で生まれる総合力でもあるのです。
国語の得意な生徒の共通点です。同感。
・ 文章を読むときに、書き手の主張にのみこまれてしまうと、客観的な視点が持てず、正確な読解がしにくくなってしまいます。適度な距離感を持てるかどうかが、読解力を高めるカギとなるのです。文章と適度な距離を意識するコツは、「自分は立場は違うけれど、この人の言おうとしていることに付き合おう」と、ほんの少しだけ批判的な姿勢で読んでいくことです。そして「批判的に読む」ということはつまり、自分なりの視点を持って読むということです。