俵万智さんが、短歌の師である佐佐木幸綱さんと会食をしたときの話です。参加者の一人が石巻まで買いにいって「ホヤの塩辛」をプレゼントされました。先生は、「これは珍味だねえ、ほんとうにうまい。酒がすすむ。ありがとう」という言葉につけくわえて、こう言われました。
「70にもなると、生まれて初めて食べるものって、ほとんどない。しかも、それがおいしいものとなると、さらに珍しい。今日は、久しぶりの『生まれて初めてのおいしいもの』を味わったよ」
年齢とともに「初」は確実に減っていきます。
逆に、子どもたちは、たくさんの「初」に出会っていることを忘れてはならないと思います。
だから、少年少女時代は、貴重。