自己評価
スランプに陥る人には共通した特徴があります。会社にしろ、役所のようなところにしろ、組織というものは、じつは本人が思っている以上に、その人のことを正しく判断しています。たとえば、自分に対する評価が130点という人に対して、上司をはじめ同じ職場の人たちはそれぞれにばらけた評価をしますが、それでも60点~80点の幅に収まったりします。こうした他人からの評価のレベルは、たとえ別の会社に行っても似たり寄ったりなのです。もともとの実力がたいしたことないのに、自己採点が甘いゆえに、ちょっとしたことで調子が悪いと気になる。そういう人は、スランプに陥りやすくなります。
あきれるほど
画家ルノワールの友人であるセザンヌは「あきれるほど絵が下手」とされていました。セザンヌは、印象派の立ち上げメンバーですが、みんなに笑われて南フランスに帰ってしまったというエピソードがあります。親の遺産をつかって、それでもうまくならないのですが、ずっと描きつづけているうちに時代(価値観)が変わり、セザンヌの絵を「逆に面白い」という評価が増えてきたのです。特に、画家ピカソは自分の絵がうますぎて、「セザンヌのようには描けない」と白旗をあげたそうです。「続ける」って素晴らしい。また、他人の見方なんて、時代によって変わるもの。
気分転換のコツ
長時間、勉強(仕事)をするときの「気分転換のコツ」
①ストレッチ
同じ姿勢でいると筋肉が緊張して疲れやすくなるので、「身体をねじる」「肩や首を動かす」と効果アリ。脳が疲れているというより、身体が疲れているときの方が多いもの。(だから、姿勢が悪い人は要注意)
②場所を変える
自分の机で勉強して疲れたら、リビングでやってみるなど、場所を変えるとリフレッシュの効果が簡単に得られます。
③究極の方法
気分転換に「マンガ」「ゲーム」「テレビ」に走ると、そちらがメインになります。究極は、国語の文章読解で疲れたら、算数の計算をやるなど「科目を変えること」。特に、計算、漢字や語句の暗記などを短時間はさんでやるとベストです。
工夫して勉強できるようになると、将来、仕事をするときにも応用がききます。
今は、未来につながっています。
朝日小学生新聞の講演会でのお話
□「わかりやすい文章にするための3つのポイント」
①「一文を短く」
・一文を書く時のポイントは、正確さ、わかりやすさ、美しさの三つである。正確さは、ビジネス文書などでは当然だし、わかりやすさは、小学生が相手なら大事なことである。たとえば、「G20サミット」は、主要先進国19カ国プラスEUの首脳会合だが、自分は小学生にとって長すぎる表現はよくないと思った。それで「G20」を主要先進国20カ国とし、「地域」という言葉を外して表した。ところが校閲からは、EUは国ではないので「地域」という言葉が必要だと言われ、正確さを要求された。それで、「地域」という言葉を入れた表現に修正した。
・一文を短くすると、わかりやすくなり、リズムがよくなる。たとえば、「今日は雨が降っていたので塾に行きたくないと思い、お母さんにそう言ったらしかられた。」は、「今日は雨が降っていた。塾に行きたくないと思った。お母さんにそう言ったらしかられた。」のように、一文を短くするとよい。
②「かかる言葉は順番に注意」
・かかる言葉が二つ以上ある場合は、順序に注意する。
たとえば、「かわいい帽子をかぶった女の子」は、「かわいい」と「帽子をかぶった」と、説明する表現が2つ続く。したがって、言葉の順序を工夫しないと、「かわいい」のが「帽子」なのか「女の子」なのかわかりにくい。そこで「帽子をかぶったかわいい女の子」とすれば、「女の子」が「かわいい」ことがはっきりする。また、「大きな熊のような犬」の場合、「熊」はもともと大きな動物なのに、「大きな」という言葉がつくとものすごい大きさの「熊」になり、その表現全体が「犬」にかかると、とてつもなく大きな「犬」を表すことになる。そこで「熊のような大きな犬」とすれば、「犬」の大きさがうまく伝わる。このようにかかる言葉をどこに置くかは大事で、書く順序を間違えると、伝えたいことが違ってしまうので注意が要る。
③「意味が重なってない?(重語)」
・大学の非常勤講師をしているが、大学生の書くものの中にも重語は多い。たとえば、「馬から落馬する」は「落馬する」、「貯金を貯める」は「貯金をする」でよい。よく間違えるのは「過半数を超える」で、「過半数」にはもう「超える」という意味が含まれているから、「半数を超える」、「過半数になる」という言い方が正しい。「満天の星空」も、「天」と「空」が重なっているので「満天の星」が正しい。