徳川家康は子供のとき、織田氏の人質になっていた。人質になった家康をなぐさめようとして、ある人が「つぐみ」を届けた。つぐみは物まねをよくする。家康はしばらく鳥と遊んでいたが、「この鳥はもういらないから、返してしまえ」といった。「なぜですか?おもしろい鳥なのに」と部下が聞いたときの少年家康の言葉。
「確かに、この鳥は面白い。でも、できるのは物まねだけだ。自分の鳴き声がないんだ。そんな鳥を飼っていても、なんにも役に立たない」
自分らしさを大切に。
竹中半兵衛
竹中半兵衛は合戦のときに、よく牛に乗った。あるとき、意地の悪い武士が「こんな忙しいときに、のんきに牛になんか乗ってなんだ!?」と言ったときの言葉。
「忙しいからこそ、牛に乗って心をしずめているのだ。そうしなければ、いい作戦は考えられない。あなたがたと一緒に、『忙しい忙しい』と言っていたら、どんなにいい考えもわいてこないのだ」
よく言われることですが、忙しいとは心(りっしんべん)を亡くすと書きます。
藤堂高虎
2代将軍の徳川秀忠は城を建築するときに、藤堂高虎に「案を出してもらいたい」と命じた。この時、高虎は案を2つ出した。部下は不思議に思って、「なぜ2通お出しになるのですか?自信のある案をひとつ出せばよろしいではありませんか?」と言ったときの言葉。
「違う。一通しか出さなければ、秀忠さまはオレの案に賛成したということになる。ところが案を2つ出せば、秀忠さまがご自身でお選びになって、どちらかひとつに決定したということになる。決定する権利は、つねに将軍さまにあるということを大事にしたいのだ」
何か重要な決断をしなくてはならないとき(志望校決めなど)の参考になります。
毛利元就
「人を用いるときに、考えなければいけないことがある。それは、だれからも好かれている者を、けっして重い役につけてはならないということだ。その理由は、だれからも好かれている者は、大事な決断を下せないからだ。だれからも好かれようとすると、たとえば悪事をした人間にたいしても厳しいことが言えなくなる。だから、評判はよくなるだろう。しかし、公平を求める人間からは批判されてしまうのだ。したがって、真面目な人が次第に仕事をしなくなってしまう。こういうことを防ぐためにも、一部で批判があっても、公平な決断を下せる人を重く用いるべきだ」
人から嫌われないよう、そのためには好かれなくては!と思う気持ちを少し楽にさせてくれます。
同じく、蒲生氏郷が玉川という家来のことを言った言葉。
「玉川は確かに才知がある。しかし、私の好きな人間はほめるが、嫌いな人間はほめずに、悪口ばかり言う。そんな見えすいたおべんちゃらをいう人間は嫌いだ。家来というのは情報を正しく私に伝えるのが役目だ。玉川はゆがめて私に伝える。だからクビにするんだ」