・大人は、子供の失敗を頭ごなしに叱責しがちではないでしょうか。自分も通ってきた道なのに、つい今の大人の視点で見てしまうようです。これは子供に「失敗した」事実だけを強烈に植え付けるだけなので、子供は失敗を恐れるようになります。それが建設的な反省になることは稀で、下手をすると、自信喪失にも繋がりかねません。失敗を常に叱っていると、それを乗り越えようとする粘り強さも身につかないのです。では、失敗をどう扱ったら良いのでしょうか。その答えの一つは、「もう一度やってごらん」です。そう言われれば、子どもは何が間違っていたかを考え、次に生かそうとするでしょう。つまり、失敗を振り返り、改善点を見出すという意味での「反省」を促す方法なのです。
・親が心を砕いて教育をする一番根本的な理由は「一人で生きていく力をつけるため」だと思います。しかし、それを実感できる子供は少数派です。子供にとっては、「今」が全てです。そんな子供に、「あなたはいずれ、一人で生きていかなければいけないから、お母さんは我慢を教えているのよ」などと説明しても、心底、理解できるはずはありません。ですから、親戚などの葬式には、できるだけ子供を参列させることです。つい先日まで、自分のことをあんなに可愛がってくれていたおばあちゃんや叔父さんが、お棺の中で、眠るように、でも確実に冷たくなって横たわっている。もし何も話しかけてくれない。そういったことを、子供は自分なりに悟り、少なからずショックを受けます。その時に初めて、人間というのはこの世に生まれて、人生を送り、最後にはいなくなるんだということを学習するのです。こうして、生命には終わりがあり、それは「死」と呼ばれるものであるということが漠然とでも伝われば、やがて親も死ぬ、自分も死ぬ、親が死んでしまったら、自分は一人で生きていかなきゃいけない、というようなことにも、少しずつ気づいていくでしょう。