・「子供が自分に自信を持てさえすれば、すべての問題が解決する」
セルフ・エスティーム
・「セルフ・エスティーム」という言葉があります。直訳すれば「自己尊敬」ということになります。もうすこし柔らかく言い換えれば、「自分を好きになる」ということです。何をやるにしても、「自分を好きになる」ことが一番の基本にあると考えます。
・「自尊心」と同義語で用いられる「プライド」と「セルフエスティーム」とは同じなのかと思われる方もいらっしゃるでしょうが、この二つをはっきり区別する必要があります。私たちが普通「プライドがある」という場合、ほかの人と比べて自分は優れているとか、あることを成し遂げたというように、社会一般の価値観から自分が認められ、称賛されて満足しているという意味で使っています。しかし、どんなに自信のある人でも、万事、自分の思うようにいくとは限りません。他者と比較し、競争をしている限り、劣等感を感じたり、競争に負けたり、嫉妬したりして、プライドが傷つけられることはあるはずです。このように、人がプライドが満たされないと、自分を嫌いになってしまいがちです。子供が自分を嫌うのは、友達との比較や競争が原因になっていることが多いようです。「友達はできるのに、自分にはできない」と感じたりして、プライドが満たされないことによる場合が多いのです。いっぽう、「セルフエスティーム」とは、自分を尊敬する、つまり、自分が自分を好きになることです。他人との比較や競争によってではなく、自分で自分の価値や順応性を認めて、世の中の役に立つ方向で力を尽くすことに意味があるのです。
欠点を抱えながらも生きている
・私たちは、泣いたり、笑ったり、ときには怒ったり、そして、人を好きになったりと、日々の生活を当たり前のように過ごしていますが、大人も子供も、それぞれの悩みや問題を抱え、でも、それに負けることなく、一生懸命に生きています。このように生きていること自体、尊敬に値することではないでしょうか。全ての人間は、人に愛される価値があり、丁寧に扱われる価値があるのです。あらためて、生きるということは大変なことだと感じます。人間なら誰でも、欠点の一つや二つはあるものです。そして、その自分の欠点を他人に指摘されたりすると、自分はこういう欠点のあるダメな人間だ、と考えます。しかし、逆に考えると、そんな欠点を抱えながらもちゃんと生きている、生きていこうと頑張っているのです。このことこそ、どんな立派な人間や、どんな立派な行いと比べてみても、人間の一番すごいところです、成功して名を成した人間も立派かもしれませんが、楽でない生計をやりくりしながらでもなんとか生きている人間も、劣ることなく立派なのです。