ライオンやゾウ使いを考えてみよう。人間にはライオンのような強力なキバやツメはない。ゾウのような巨体や力もない。なのに人間は、ライオンに火の輪をくぐらせ、ゾウに芸を仕込むことができる。
ここでこういう芸をしてね、と教える必要はあるが、ライオン以上に上手に火の輪をくぐる必要はないし、ゾウのように長い鼻で芸をやってみる必要もない。教えるからには教えられる者よりも高い技術を持っていなければ、と思う人間が結構いるが、上司や教師は必ずしも生徒より優れている必要はない。
ライオン使いやゾウ使いは、日常のエサやりから下の世話まで配慮する。考えようによっては、どちらが主人かわからない。肝心の芸をすべき時に芸さえしてくれれば、ライオンやゾウの仕事は終了だ。
上司や教師の仕事は、部下や子供の持っている潜在能力をできる限り引き出し、仕事や勉強の場で発揮してもらうことだ。そのために雑用をこなし、部下や子供が仕事をしやすいようにお膳立てをする準備係だ、と言っても良い。
「名選手、必ずしも名監督ならず」と言われるが、名監督になるには別の能力が求められる。それは、部下や子どものパフォーマンスを引き上げる能力だ。パフォーマンスを発揮してもらうには、働いたり勉強したりする意欲を引き上げることが必要だ。
つまるところ、上司や教師の仕事は、意欲を引きだすことだと言って良い。
もちろん、上司と教師を親に置き換えても良いと思います。
モチベーション
「上げる」と思うより「引き出す」(元々あるものだ)と考えた方がうまくいきそうだ。