子どもたちに、お父さんお母さんが働いていること、それがどんなに大変なことか、またその大変さを伝えずに子育てをされているのが、どれだけ尊いかを伝えるのは、塾の役目では?と思っています。代弁者が必要な場面があります。
歌舞伎(KABUKI)
生まれた瞬間、男の子と分かった時点から修行が始まるのが、歌舞伎役者。ほとんどが、世襲となりますが、幼いときから覚えて、鍛えなければならないことが、たくさんあるからだとそうです。
歌舞伎座の公演は、毎月25日間。月によって違いますが、2日が初日で26日が千秋楽(最終日)となるのが普通。その26日に終わって、2日にまた初日。実は、稽古(練習)できる日数は思ったより短い。教えるほうも教わるほうも、ほぼ毎日舞台に出ているので、その合間を縫ってということです。
だから、それぞれの「身体」に、それぞれの役の記憶がしみこむまでの反復練習が必要だそうです。普段は見えないこの「繰り返し」の努力が、どんな仕事にもあるのでしょう。
花火(FIREWORK)
打ち上げ花火の製造工場は、ほとんど機械化をしていません。火薬の原料の硝石や硫黄を計量するのも、昔ながらの分銅はかりだそうです。なぜかというと、電気やガスなどの動力を使うと、万一のときに火が出てしまい、危険だからということです。
また、花火師になるには、数学(算数)にも強くないとダメ。「火薬類取り扱い保安責任者」という国家資格をとるためには、理数系の問題を解けなければなりません。さらに、下働きの修行期間には、用具や器具の名前を覚え、先輩たちの作業の手順を盗みと、一人前になるには10年以上もかかるそうです。
花火師に求められるのは、丁寧さや忍耐強さも必要。出来上がるものは派手で、一瞬にして消えてしまうものですが、それを作るには、コツコツとしたひとつひとつの工程での丁寧さが求められます。一番小さいものでも、1ヶ月はかかるそうですし、少しでも火薬の量が違うと大事故につながる可能性もあります。
花火というのは、少し季節はずれでしたが、何をやるにもプロとは厳しいものです。
私もプロとして、真摯に生徒たちに向かい合わねば。