日本を代表する発達心理学の研究者である慶應義塾大学教授、今井むつみさんのお話が示唆に富む。
「言葉の多様な意味を理解するには、経験も年齢も必要になってきます。『切る』と言う言葉一つとっても、簡単な意味から難しい意味まで色々です。ハサミで紙を切るなら簡単ですが、シャッターを切るだと中高生くらいにならないとできません。水を切るだと、料理をしない子供には難しいかも知れません。抽象的な言葉だともっと難しくなります。例えば『愛する』は、高校生の使う「愛する」と、三十代夫婦の「愛する」と、老夫婦の「愛する」はニュアンスが違います。スポーツや芸術を「愛する」だとまた違ってきます。なかなか、親が小学生に説明してもちょっとやそっとで理解できるものでもありません。こうしてみると、人はいろんな形で言葉を聞いたり、読んだり、使ったりすることによって意味を深めていき、徐々に使いこなせるようになるのです。言葉は、暗記して終わりというものではなく、長い時間をかけて育てていくものなのです」
「語彙力をつけるには?」とのご質問やご相談を保護者からいただくことがあります。私は単語集などを覚えるのではなく(説明文の「客観的」や「AI」などの言葉は別です)、少なくとも心情を表す言葉は、文章の中での使い方で少しずつ身につけていくものだ、という風に考えています。今井教授のお話の内容に、同意いたします。


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