何のために

「社会が必要としている能力」と「学校や教育システムが育んできた能力」の間に、令和になり加速度的に齟齬が生じているにも関わらず、大人は、日本人の多くが戦後信じてきた幸福のモデルをいまだに掲げ続けている。子どもたちに「なんだかよく分からないままに、とにかく１ポイントでも偏差値の高い学校を目指せていないか？」そして、その後は「有名大学に入学して、少しでも給料の高い安定した職業に就くのが賢い人生なんだ」という偏った価値観を刷り込んでいないのか？そういうことを自問自答した上で教育をしている人間の下でこそ、子どもたちが才能を開花させることができると信じたい。

企業から離れて仕事をしていて、人との縁を感じることが以前よりも多くなった。初めてお会いする人とのちょっとした出会いから思いがけない世界が広がることが実に多い。学力をつけることももちろん大事、そして同じく学力を身につけることによって身につく忍耐力や計画性などの要素を軽視してはならないと思う。そして、受験前であるからこそ「合格のためだけに子どもたちを頑張らせているわけではない」と親が再確認することによって、もう一踏ん張りが効いてくるのではないだろうか？