中学高校時代は、美術なんて何の役に立つの?と思っていた人も、大人になってからもっとちゃんと勉強しておけば良かったと思うことが多いといいます。私もその一人です。
『失敗、成功はひとつの見方でしかありません。行きたい大学、行きたい企業に受かったというのは、一つの成功ですが、それだからといって幸せになれるとは限りません。失敗したから、喜びを見つける場合もあるし、成功したから、惨めになる場合もある。例えば、今クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワールなど「印象派」といえば、展覧会は大盛況、知らない人はいませんが、印象派の人たちの絵は、もともとは、当時の主流であるサロン展から落選した人たちの集まりでした。落選した人たちで展覧会を開いたとき、モネの出した絵『印象・日の出』を、当時の批評家が見て馬鹿にして「まるで印象を描いているみたいだ」と書いたことから付けられた名前が「印象派」なのです。このような事実を知っていると、「失敗しても、それが逆に成功になる場合がある」と思えることでしょう。ある価値観の中で成功するということは、その価値観に取り込まれることでもあるのだ、と理解ができる。このようなことを知っているのが真の教養なのです』
※「緊張を味方につける脳科学」(茂木健一郎・河出新書)
おまけ:レンブラントの逸話
「夜警(ナイトウォッチ)」で有名な画家、レンブラント。貧しい生活のため、海岸に落ちていた魚を食料にしようと拾っていたところ、一人の親切な紳士が金貨を与えました。しかし、レンブラントはその金貨を持って画材屋に行き、新しい絵の具を買ったといいます。